担当者の
セキュリティスキルを高める
会社のセキュリティの取り組みを推進するセキュリティ担当者がスキルを高め成長していくことは、非常に重要な施策となります。セキュリティ担当者こそ積極的にセキュリティ教育に参加していきましょう。
Point① 担当者に求められるスキルや知識を把握する
担当者の役割として、求められるスキルや知識を把握しましょう。サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引きでは、各分野に求められる知識・スキルの概観をまとめています。また、巻末には、活用可能な試験・資格の例も記載されています。資格取得を目指すこともスキルを高めます。

区分については以下を想定し、知識・スキルの詳細については各シラバスが参考になります。
-
主導できるレベル(情報処理安全確保支援士試験レベル)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/syllabus_sc_ver2_0.pdf -
コミュニケーションを取れるレベル(情報セキュリティマネジメント試験レベル)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/syllabus_sg_ver3_3.pdf
「◎」;主導できるレベル(情報処理安全確保支援士試験レベル)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/syllabus_sc_ver2_0.pdf
「○」;コミュニケーションを取れるレベル(情報セキュリティマネジメント試験レベル)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/syllabus_sg_ver3_3.pdf
出典:経済産業省
「サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引き 」をもとに作成
https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/tebikihontai2.pdf
Point② 担当者自身の得意・不得意を理解する
セキュリティの業務は非常に幅広く、全てを完璧に行うということは非現実的です。自分の得意不得意を意識し、不得意な点をどのようにカバーし対応していくのかを考えることが重要です。

Point③ メンバー・後任を育成する
セキュリティ関連の業務を責任者の立場で取り組む場合には、セキュリティ組織・チームが永続的に活動できるようにすることも重要です。メンバーや担当者の育成や次世代を担う人材の育成にも力を入れる必要があります。
計画
短期的なPDCAとして、人材育成計画を作成します。(組織の成熟度とセットで考える場合には、長期的なPDCAの一環として考える場合もあります。)計画では、組織・チームの強みや弱み、自社で行う業務・役割、求められるスキル、現在のメンバー・担当者の能力を把握し計画を取りまとめます。
実行
計画に基づき育成の取り組みを実行します。セキュリティ組織・チーム内での勉強会や外部セミナーの受講、研修への参加などを行っていきます。参加がしやすい雰囲気作りや業務調整も必要です。また、初めて経験する業務に挑戦させるという方法もあります。業務経験を積むことで担当者としての成長を促します。
評価
参加者がどの程度成長しているかを定期的に評価します。業務と連動させる場合には四半期ごとなどに面談等を行うことで評価することも有効です。セミナー参加などをする場合には参加レポートを書くなどしアウトプットを行う、勉強会などで講師を担当するなどの方法から評価を行うこともできます。
改善
担当者の成長具合に合わせて業務内容などを見直していきます。また、必要であればキャリアの希望などもしっかりと把握をすることが望ましいです。本人の希望するキャリアや業務を担当することでモチベーションが上がり、成長スピードも高まります。
One point
セキュリティの業務に携わる人員を育てたら辞めてしまった、というエピソードを聞くことがあります。辞めた理由としては、セキュリティ業務の経験を活かした転職であったり、セキュリティ以外の業務をしたいといった理由があります。せっかく育ったセキュリティ担当者がいなくなるというのは、育成していた側からすると虚無感にも似た感情を抱くのではないでしょうか?
兼務で行っている場合には、しっかりと評価をする仕組みが必要となる場合があります。例えば、給与や賞与への反映なども検討します。また、兼務であるために本来の業務が疎かになることに対して、不利な評価をされないようにすることも重要です。
専任の組織やチームで取り組んでいる場合には、評価制度などは整っているケースが多いように感じています。しかしながら、専任であるがゆえにキャリアパスの幅が狭いことや日々の業務内容が変わらずに、将来に不安を感じるといった話もよく聞きます。組織が成熟していく中で、できることを増やしていくことも重要です。
転職などが一般的となっている今日において、人材の流出を防ぐことは現実的ではありません。常に人を育てていく環境、正しい評価ができる仕組みを作っていくことが重要です。